皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
「⋯⋯そんなわけ、ないでしょう」
「なら何故、レイニーと共に出ていかなかった。ここは俺の部屋だ。残っているというのは⋯⋯そういうことだろう?」
触れていた指先がするりと頬をもてあそび、身体の奥底が甘やかに震える。
話したいことがあるから残った。そう否定すればいいのに。手も足も⋯⋯声すら出てこないのは何故だろう。
柔らかに頬を緩めるルイナードに、視線までをも支配されたまま、ドクンと胸を鳴らした。
なにしてるのよ。早く何かいわないと―――。
「⋯⋯無言は肯定の証だ」
そして、頬を滑っていた指先が、私の顎を優しくお押し上げて
近づいてくるふたつの宝石に見惚れながら、動けない理由を必死に探る。
久々の再会だから。
花をもらったから。
怪我をしているから。
だから、だから。
って、私は⋯⋯何が言いたいんだろう
そして⋯⋯ゆっくりと、瞳を閉じてしまった。
「こういうときに⋯⋯素直になるな」
しかし。ふんわりと温もりが触れたのは、私の眉間だった。
――え?
離れると同時にパチクリと目を開くと、さらりと揺れる前髪の奥から、からかうような表情と再会した。