皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
その場でじっと待っていると、すぐにルイナードが後ろから手を回す形で、そっとお腹を包みこむ。
「温かい」
背中から伝わるぬくもりに、密かに息を飲む。
心臓が馬鹿みたいに暴れ出す。
「⋯⋯順調で何よりだ」
耳元にふれる、低くて優しさを含む声。全身がルイナードの香りに包まれた。
まるで、自分が抱きしめられているような感覚に、全身の血が沸騰してしまいそう。
私は、耐えて思考を他のことへと反らした。
「――今まで、気にする素振りも見せなかったのに」
「⋯⋯警戒心まるだしのお前に頼むほど無神経な男ではない。経過はハリスから全て聞いていた。⋯⋯愛しいに決まっているだろう」
愛しい、のは赤ちゃんだ。
あまりにも慈しむような触れ方に、言葉も温もりも、全て自分に向けられているものだと、錯覚をひき起こしてしまいそうになる。
でも、ふと、妊娠を知った夜に、一度捨てたはずの希望が戻ってきた。