皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
――そして、一週間後。
予感が的中した私は、盛大なため息をついていた。
やっぱり、気のせいなんかじゃなかった。
「アイリスさま、また、大きなため息をついて⋯⋯授業の方、お疲れですか?」
一緒にお墓に備える花を摘んでいたサリーに心配そうな面持ちで覗きこまれて、ハッとした。
いけない。ついボーッとしてた。
青い空の下。少しだけひんやりし始めた風に、小花柄のシフォンドレスがさらわれる。手には幾本かのダリアを手にしたまま、私はどうやら立ち尽くしていたようだ。
「いえ、授業は問題ないわ。ケーラ先生もとても丁寧に教えてくれるし、私の方もなんとかついていけるし。だから別に⋯⋯」
「陛下とまだお話しできないのですか?」
ギクリと肩を揺らす。ほんと、サリーに隠し事はできない。
「ふふ、図星のようですね」
私は、そんなにわかりやすいだろうか。
――四日前。私は、複雑な胸の内をとうとうサリーへと打ち明けていた。
⋯⋯というのも、こうなったのは、ルイナードのせい他ならない。