皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
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『それはどういうことですか?! せっかく帰還なさったのに、本日もアイリスさまと夕食を共にしない――?!』
またもや壮絶な悲鳴が聞こえてきて、私は危うく嗜んでいた紅茶をブバっ吹き出しそうになった。
口元を拭いながら、チラリと視線を出入り口に配れば、立ち話をしていたクロードさんとサリーが「ゴホンッ」と急に声を潜めて取り繕う。
皇帝室でルイナードの怪我に携わって以来。彼はどことなく2人になることを避けるようになった。
もちろん、理由はわかっている。
『――ルイナード、ちょっと話を――⋯⋯』
『――そろそろ、クロードのところへ行かなければならない』
彼は間違いなく、お父さまの事件について再び問いただそうとしている事に勘付いている。
それしか理由はない。
さらに、ちらりと脳裏を過るのは、シャツの下にある傷跡。
たぶん、聞かれて困る何かを隠している。
しかし。そんなことを知らない周囲からすれば、急に私へ寄り付かなくなった彼の変化に動揺を隠せないようだ。
療養のために、公務を最小限に留めているということもあって、なおのことだろう。
私の方は、それほど気にしていないけどね。
⋯⋯たぶん。
出窓に視線を移すと、今日も花瓶の中で、爽やかなブルースターが揺れている。
いまだ、贈り物だって、届くし。顔を合わせれば、体調を気遣ってもくれるし。
嫌われてはいない⋯⋯ってことよね?
『それはどういうことですか?! せっかく帰還なさったのに、本日もアイリスさまと夕食を共にしない――?!』
またもや壮絶な悲鳴が聞こえてきて、私は危うく嗜んでいた紅茶をブバっ吹き出しそうになった。
口元を拭いながら、チラリと視線を出入り口に配れば、立ち話をしていたクロードさんとサリーが「ゴホンッ」と急に声を潜めて取り繕う。
皇帝室でルイナードの怪我に携わって以来。彼はどことなく2人になることを避けるようになった。
もちろん、理由はわかっている。
『――ルイナード、ちょっと話を――⋯⋯』
『――そろそろ、クロードのところへ行かなければならない』
彼は間違いなく、お父さまの事件について再び問いただそうとしている事に勘付いている。
それしか理由はない。
さらに、ちらりと脳裏を過るのは、シャツの下にある傷跡。
たぶん、聞かれて困る何かを隠している。
しかし。そんなことを知らない周囲からすれば、急に私へ寄り付かなくなった彼の変化に動揺を隠せないようだ。
療養のために、公務を最小限に留めているということもあって、なおのことだろう。
私の方は、それほど気にしていないけどね。
⋯⋯たぶん。
出窓に視線を移すと、今日も花瓶の中で、爽やかなブルースターが揺れている。
いまだ、贈り物だって、届くし。顔を合わせれば、体調を気遣ってもくれるし。
嫌われてはいない⋯⋯ってことよね?