皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
ふたりが打開策を話し合う中、キョロキョロと状況確認をした。
報告によると、天蓋の隙間を伝って、雫が落ちているとのこと。見れば、確かに純白のシーツは色濃く変化している。
しかし、幸いなことにその他に異常はないようだ。
濡れているのはベッドのみ。足元にはぽつんと置かれた空っぽのバケツは、雫を拾ってるわけではなさそうだし。
頭を持ち上げて、天井を見るも、シミや滲みなどはない。
本当に雨漏り⋯⋯なのよね? まぁいいわ。
「今夜はソファで眠るわ。充分な広さもあるし。布団も濡れていないし。だから―――」
「いいえ! 皇妃様にそんなことはさせられません」
夜も遅いことから、侍女たちには自室へ帰ってもらおうとしたのだけれど、サリーは力いっぱい言い切ってしまう。
あまりにもきっぱりした物言いに呆気にとられていると、彼女は夜とは思えないほど、弾けんばかりの笑みを浮かべた。
「もう、準備は整っておりますので、ご安心を!」
――じゅ、じゅんび⋯⋯?
ジリジリと近づいてくるサリーを前にして、なんだかひんやりとした空気が背筋を流れた。