皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
――それからというものの、私の生活はガラリと変化した。
「あれ? アイリスさま、もう行かれるのですか?」
自室での授業を終えた私が、筆記用具を手に移動の準備をしていると、バルコニーの掃除をしていたサリーが部屋に戻ってきた。
外は晴天。夏季はそろそろ終わりを告げ、落ち葉の彩る季節が訪れようとしているが、メイド服をきっちり着こんで動き回るサリーの額には、今日も大粒の汗が滲んでいる。
「サリー、ご苦労さま。今日も書庫に行くから、何かあったらそっちに呼びに来てくれる?」
「⋯⋯でも、昼食はまだなのでは」
「大丈夫! さっきケーラ先生とテーブルマナーやったから」
心配そうなサリーから逃げるように、私は筆記用具抱えて部屋をあとにした。
「ちゃんと3時には戻ってくださいよ」というお咎めが廊下を響き渡り、手をあげてから目的地へ向かう。