皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
ずっとこうしたかったのは、私もだ。
毎晩重ねてきた優しい口づけに、息遣いに、大きな手のひらに。
何度も欲情していた。
やがて体を労りながらも、ルイナードの熱い身体が焦れたように私の中へと押し入ってきた。頭の中が真っ白になる。
「――アイリス、愛してる」
「あ――」
はじめは優しく、けれどもしだいに余裕なく優美な腰がしなりはじめる。
私は無我夢中で彼からこぼされる吐息を、熱に犯される煌めく黄金色を、逃さないように目で追いかけた。
「ルイナード⋯⋯」
彼の名前を唱えるだけで泣きそうになる。切なくなる。彼から放たれる全てを逃したくなくて、焼き付けるように目に収めた。
好きよ。アイシテル。
何度も喉まででかかる愛の言葉を、彼の汗ばんだ身体と唇が奪っていく。溶かしていく。
しだいにふたりの息が上がっていく中、上下に揺れ動く、胸に刻まれた傷跡に手のひらで触れた。
改めて思う。
「あなたが⋯⋯生きていてよかった」
ふと、口にした瞬間、ハッと濡れた黄金色が見開く。
しかし、どこか振り切るようにして、
「⋯⋯今は、俺だけを感じていろ」
荒々しい息遣いとは真逆の、弱々しい笑顔を浮かべた彼は、私の唇を隙間なく塞いで、甘く自身で突き上げた。
それ以上言うことは、許さない⋯⋯と。
この夜も、結局、答えははぐらかされたまま。
翌朝起きたときには、ルイナードの姿はそこにはなかった。