皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
――ことの発端は1週間前
工事に携わる職人の数人が、組織に人質として捕らえられてしまったところから状況が一転した模様だ。
これにより騎士団の方は、相手側に従わざるを得なくなってしまい、大柄な態度を取るようになった組織員たちに、橋を再び占拠されてしまったらしい。
そして、依然としてゴタゴタした状況が続いていた、数日前。とうとう憤慨したひとりの騎士の態度を機に、一時暴動が発生し、事態がより険悪化した模様だ。
「つまりそれによって逆上し、今度こそルイナードに“橋の工事”や“制度”の廃止を直接訴えたい――ということね」
一通りの説明を受けて、クロードさんの話をまとめた。
なんとも身勝手な⋯⋯と内心呆れ返る。
ちなみに書庫で、ハリス先生が呼び戻されたのは、怪我人が帰ってきたから⋯⋯のようだ。
「現在は、人質共にヘリオンス国内の彼らの基地に移動した模様です。人質、というよりかは、交渉材料にしたいだけのようでして、手荒に扱われている様子はありません。前回の訪問時から身を潜めていたのは、今回の計画を企てていたのかもしれませんね」
「ルイナードは⋯⋯どうするつもりなんだろう」
自分に反する反皇帝組織に対しても、寄り添いたいと願う優しい人だ。
暴動はすでに収まっているらしいけれど、何より前回のように傷つかないか心配だった。現在は武力を持たないとしても、何が起こるかわからない。相手は、お父さまの事件の起こした組織でもあるため、心配だ。