皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
「マーシー、もういいから。頭上げて」
私は思わず腰を上げてなだめる
謝られなくたってちゃんとわかってる。私の部屋を訪れたときの彼がいつものマーシーじゃなかったことくらい。
しかし、彼はちがう、と首を横に降る。
「良くないよ。僕は、ずっと君を騙してきたんだ」
「⋯⋯え?」
騙す⋯⋯?
「それを伝えるために、今日はここまできた」
真剣なマーシーの瞳に射抜かれて、自分が話そうとしていたことすら、すっかり忘れてしまった。
どういうこと⋯⋯?
「僕はずっと、ルイナードのことが羨ましかった」
そう言って切り出された言葉は、幼い頃の私たちを思い返させた。