皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】



緊急時の連絡に備えクロードさんを城に残し、すぐさまマーシーと共に、馬車に乗ってネスカ国へと急いだ。


ルイナード、どうか無事でいて⋯⋯


私は祈るような気持ちで、さきほどのクロードさんからの状況説明を思い返す。


『事故って、一体なにがあったんだ?』

『攻撃を受けたのではないのですか?』


クロードさんの報告をうけて、呆然とする私の両隣からマーシーとサリーが悲鳴をあげた。

私はサリーに支えられたまま、立っているのがやっとだ。

クロードさんは、私たちの強い視線を受けて、報告を重ねる。


『たった今、電報が届いたのです。騎士と組織の間で激しい口論の末、殴り合いが起きたようでして。陛下は⋯⋯巻き込まれた子供を助けるために、馬車と接触したようです』


息が止まった。

馬車と接触だなんて、打ちどころが悪ければ命はない。


『なぜ、そんなところに子供なんているんだ!レイニーたちは近くにいなかったのか?』

『相手側の子供です。暴行を受けた騎士の近くにいたようで、ぶつかった拍子に道路にはじき出された模様です。陛下が自ら飛び出してったようで』


それは、あまりにも、ルイナードらしい反応だと思った。

彼の必死な様子が、不思議なほど鮮明に想像できる――。


暴行をはたらいた組織員は、瓶の件も実行犯であることから、そのまま捕らえられ。意識のないルイナードは、その周辺で1番大きなネスカ首都の医院へと運び込まれたらしい。
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