皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
まるで、スローモーションだった。
目を見開いたまま彼を注視していると、ゆっくり扇のような睫毛が上下したあと、瞼の下から黄金色がきらりと姿を現したのだった。
静かに息を飲んだ。
そして、そのままぼんやりと天井を見つめる瞳は、覚醒しきっていないの様子。
だけどしっかりと、目を開いている。
「ルイナード⋯⋯?」
幻⋯⋯?
夢見心地のまま名前を呼ぶ。
途端に周囲が慌ただしくなった気がするけれども。その瞬間から、私には彼以外なにも見えなくなった。
歓喜に震えながら硬直していると、首がわずかにこちらへと動いて、まだ半分ほどしか開いていない黄金色が、おぼろげに私をとらえる。
「⋯⋯あい⋯⋯りす」
待ちに待った瞬間なのに、口を開くことができなかった。感極まって、全身が震える。
涙がポロポロと溢れてきた。止まらない。
夢ではないだろうか⋯⋯?