皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
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「ジャドレ⋯⋯ジャドレ! 死ぬな!」


鉄の香りが執務室を覆う。

周辺には、再度向かってきた男たちが、血を流して倒れている。俺は自らが招いた惨劇の横で、貫かれたジャドレの胸を必死に塞ぎ叫んでいた。

指の隙間から溢れ出すおびただしい血液。軟弱な俺は、腰から力が抜けそうだ。

悪い夢であってくれ。なぜ俺は、一瞬でも気を抜いてしまったんだ。人よりも難を強いられているというのに。


「くそっ!! 騎士団はまだか!!」


この時の騎士団は、経路のいくつかに鍵をかけられていたようで、その解除が難航していたと後々聞いた。

不甲斐なさを、周囲へ当たり散らしていると、弱々しい手が俺の手首に触れる。


「へいか⋯⋯ぶじ⋯⋯すか」

「しゃべるな! 血がでる! なぜ⋯⋯お前――」


まるで、ジャドレの動きは、俺が左側からの動きに弱いことを察しているようにも感じた。

信じたくはない。


しかし、青白い唇は小さく息を震わせて、


「前陛下⋯⋯との、お約束⋯⋯まもれて、よかった」


最も恐れていたことを口にする。

無意識に体がカタカタと震える。

隠しきれていると思っていたのは、俺だけだったというのか?

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