皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
✳✳✳
「ジャドレ⋯⋯ジャドレ! 死ぬな!」
鉄の香りが執務室を覆う。
周辺には、再度向かってきた男たちが、血を流して倒れている。俺は自らが招いた惨劇の横で、貫かれたジャドレの胸を必死に塞ぎ叫んでいた。
指の隙間から溢れ出すおびただしい血液。軟弱な俺は、腰から力が抜けそうだ。
悪い夢であってくれ。なぜ俺は、一瞬でも気を抜いてしまったんだ。人よりも難を強いられているというのに。
「くそっ!! 騎士団はまだか!!」
この時の騎士団は、経路のいくつかに鍵をかけられていたようで、その解除が難航していたと後々聞いた。
不甲斐なさを、周囲へ当たり散らしていると、弱々しい手が俺の手首に触れる。
「へいか⋯⋯ぶじ⋯⋯すか」
「しゃべるな! 血がでる! なぜ⋯⋯お前――」
まるで、ジャドレの動きは、俺が左側からの動きに弱いことを察しているようにも感じた。
信じたくはない。
しかし、青白い唇は小さく息を震わせて、
「前陛下⋯⋯との、お約束⋯⋯まもれて、よかった」
最も恐れていたことを口にする。
無意識に体がカタカタと震える。
隠しきれていると思っていたのは、俺だけだったというのか?
「ジャドレ⋯⋯ジャドレ! 死ぬな!」
鉄の香りが執務室を覆う。
周辺には、再度向かってきた男たちが、血を流して倒れている。俺は自らが招いた惨劇の横で、貫かれたジャドレの胸を必死に塞ぎ叫んでいた。
指の隙間から溢れ出すおびただしい血液。軟弱な俺は、腰から力が抜けそうだ。
悪い夢であってくれ。なぜ俺は、一瞬でも気を抜いてしまったんだ。人よりも難を強いられているというのに。
「くそっ!! 騎士団はまだか!!」
この時の騎士団は、経路のいくつかに鍵をかけられていたようで、その解除が難航していたと後々聞いた。
不甲斐なさを、周囲へ当たり散らしていると、弱々しい手が俺の手首に触れる。
「へいか⋯⋯ぶじ⋯⋯すか」
「しゃべるな! 血がでる! なぜ⋯⋯お前――」
まるで、ジャドレの動きは、俺が左側からの動きに弱いことを察しているようにも感じた。
信じたくはない。
しかし、青白い唇は小さく息を震わせて、
「前陛下⋯⋯との、お約束⋯⋯まもれて、よかった」
最も恐れていたことを口にする。
無意識に体がカタカタと震える。
隠しきれていると思っていたのは、俺だけだったというのか?