皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
「なん、でっ⋯⋯」
「あいりすを⋯⋯どうか」
質問に答えることなく、ジャドレは愛して止まなかった娘の幸せを祈り、そのまま永遠の眠りについてしまった。
世界は混沌とした闇に包まれた。
一寸の明かりもない、夢も希望もない。
ただの暗闇だった。
大切なものをひとつも守れない。
プライドだの、意地だの、恐怖だの。それらを取り払って周囲に片眼であることを打ち明けていたら。
こんな事にはならなかったはずた。
弱いことを認めていれば、ジャドレは死ななかったはずだ⋯⋯!
父との約束も守れず、向かってきた民の命を斬りつけ。家族同然のジャドレの命までをも、俺は奪った。
他の誰でもない。
――俺がジャドレを殺したんだ。
胸が燃えるように熱くて、痛い。
確かめるように手で触れてみると、ドロリと生温い液体がついた。
いつの間にか⋯⋯
そう思いかけて、衝撃と共に受けた“燃えるような熱さ”の原因に察しがつく。
あぁ、そうだ。
あの瞬間、ジャドレが守ってくれなかったら、俺が貫抜かれていた。
指から滴るソレをぼんやりと眺めながら
――俺は決意した。