皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
そして事件から数日後『反皇帝組織』から正式な確認がとれた。
今回の事件は、組織内の“異端派”が起こしたものであり、彼らは事件の一週間前に組織を脱退していたらしい。決別時には、仲間の数名を手に掛けるなどして、組織内を攪乱していったそうだ。
そのせいもあって、向こう側からのお咎めは、ほとんど無かったが⋯⋯
俺はそれで自身を許すようなことはしたくなかった。
どの皇帝よりも、真っ直ぐに、真摯に向き合う。それが彼らに対する償いだと思った。
『――俺が殺しただなんて、よく言うよ』
公務を再開したころ、そんな俺に噛み付いてきたのは、マーシーだ。
必ず、訪れるだろうと思っていた。
『アイリスは死ぬほど君を憎んでる。君は、“いくつ”彼女に嘘を重ねるんだ』
彼は頭がキレる。“弱点”についても知られている節があり、過去に何度か気遣いを受けたことがある。加えて彼の人脈があれば、おおよそのジャドレの死因を探ることも難しくはない。
それが、愛するアイリスのためとなれば、なおさらだ。
しかし、
『――俺がついた“嘘”はひとつだけだ』
俺が言えることはそれだけ。――“本の虫”ではない。