皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
―― ピロロロー⋯⋯ ジャーン⋯
響き渡るピアノの旋律に、肩がビクンと跳ねる。嫌な記憶は一気に霧散して、私はパチッと目を覚ました。
そうだ、私⋯⋯。
ぐるりと頭を動かす。
広大なまばゆいダンスホール。中央でクラッシック演奏をはじめる合奏団。そして音楽に合わせて手を取り合う男女。
すっかり舞踏会にきていたのを忘れていた。
会場の中心でぼんやりしていた私は、慌てて人波を縫うようにして、ホールの隅へと移動する。
壁際にやっと体重を預けたところで、「はぁ⋯⋯」と自然とため息がこぼれ落ちた。
ここにくるのは“あの日”以来か。
まさかまた城に来ることになるなんて⋯⋯。
途中メイドさんから受け取った、ワインを傾ける。