皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
✳✳✳
翌朝。
慣れない空気感に目を覚ますと、豪華なシャンデリアと、天蓋にぶら下るふわふわのレースが視界に入る。
そうだった。城に連れて来られたんだっけ。
これまでの経緯を思い返し、げんなりした。身体なんて、ちっとも休まった気がしない。
重い体を起こして、身支度を整えた。部屋の説明は昨日のうちにクロードさんから受けている。
改めてぐるりと、部屋を見渡した。
仕切りの無い広々とした空間には、扉から一番離れた位置にベッドとクローゼット、それから隣部屋への続きの扉。南側にはバルコニーと日の当たる温かい場所に置かれた小花模様のソファ。そして、東側にはレースの揺らめく出窓がある。
私はノロノロとカラダを動かし、クローゼットからてきとうなドレスを取り出し袖を通す。
揃えてある衣装がゆったりしているのは城側の気配りだろう。着るのが申し訳ないくらい上質だ。
着替えを済ませた頃に、部屋の扉がコンコンと鳴る。
「おはようございます、アイリスさま。本日からお世話をさせていただきます、侍女のサリーと申します⋯⋯」
「さりー⋯⋯?」
メイド服を着た、私よりも少し年上の朗らかな女性。
聞いたことがある名前だ。
彼女は私の顔を見た途端、口元を抑え感極まったような表情を見せる。
しだいに涙を流し始めた彼女を見て、はっとした。
「もしかしてサリーって、ロルシエ家に仕えていたサリー⋯⋯なの?」
「そうでございます。再びお会いできるだなんて、サリーは嬉しくございます⋯⋯っ!」
翌朝。
慣れない空気感に目を覚ますと、豪華なシャンデリアと、天蓋にぶら下るふわふわのレースが視界に入る。
そうだった。城に連れて来られたんだっけ。
これまでの経緯を思い返し、げんなりした。身体なんて、ちっとも休まった気がしない。
重い体を起こして、身支度を整えた。部屋の説明は昨日のうちにクロードさんから受けている。
改めてぐるりと、部屋を見渡した。
仕切りの無い広々とした空間には、扉から一番離れた位置にベッドとクローゼット、それから隣部屋への続きの扉。南側にはバルコニーと日の当たる温かい場所に置かれた小花模様のソファ。そして、東側にはレースの揺らめく出窓がある。
私はノロノロとカラダを動かし、クローゼットからてきとうなドレスを取り出し袖を通す。
揃えてある衣装がゆったりしているのは城側の気配りだろう。着るのが申し訳ないくらい上質だ。
着替えを済ませた頃に、部屋の扉がコンコンと鳴る。
「おはようございます、アイリスさま。本日からお世話をさせていただきます、侍女のサリーと申します⋯⋯」
「さりー⋯⋯?」
メイド服を着た、私よりも少し年上の朗らかな女性。
聞いたことがある名前だ。
彼女は私の顔を見た途端、口元を抑え感極まったような表情を見せる。
しだいに涙を流し始めた彼女を見て、はっとした。
「もしかしてサリーって、ロルシエ家に仕えていたサリー⋯⋯なの?」
「そうでございます。再びお会いできるだなんて、サリーは嬉しくございます⋯⋯っ!」