皇帝陛下、今宵あなたを殺害いたします―復讐するのに溺愛しないでください―【コミカライズ原作】
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翌朝。


慣れない空気感に目を覚ますと、豪華なシャンデリアと、天蓋にぶら下るふわふわのレースが視界に入る。


そうだった。城に連れて来られたんだっけ。


これまでの経緯を思い返し、げんなりした。身体なんて、ちっとも休まった気がしない。


重い体を起こして、身支度を整えた。部屋の説明は昨日のうちにクロードさんから受けている。

改めてぐるりと、部屋を見渡した。

仕切りの無い広々とした空間には、扉から一番離れた位置にベッドとクローゼット、それから隣部屋への続きの扉。南側にはバルコニーと日の当たる温かい場所に置かれた小花模様のソファ。そして、東側にはレースの揺らめく出窓がある。


私はノロノロとカラダを動かし、クローゼットからてきとうなドレスを取り出し袖を通す。

揃えてある衣装がゆったりしているのは城側の気配りだろう。着るのが申し訳ないくらい上質だ。

着替えを済ませた頃に、部屋の扉がコンコンと鳴る。


「おはようございます、アイリスさま。本日からお世話をさせていただきます、侍女のサリーと申します⋯⋯」

「さりー⋯⋯?」


メイド服を着た、私よりも少し年上の朗らかな女性。

聞いたことがある名前だ。

彼女は私の顔を見た途端、口元を抑え感極まったような表情を見せる。

しだいに涙を流し始めた彼女を見て、はっとした。


「もしかしてサリーって、ロルシエ家に仕えていたサリー⋯⋯なの?」

「そうでございます。再びお会いできるだなんて、サリーは嬉しくございます⋯⋯っ!」

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