秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 栗林さんは、「この時間だからギリギリあるかな……」と困ったように眉根を寄せていた。

「わかりました。行ってきます。いちごのロールケーキが売り切れていた場合、代用品の候補はなにかありますか?」

「そのときはいちごのショートケーキにしてほしい。ごめんね、今日忙しいから本当に助かる。場所は今からメールで送るから。あと、買い物が終わったらそのままお昼休憩入っちゃって」

 私が「はい」と答えると、栗林さんは「よろしくね」と告げ、急いで自分のデスクへと戻っていく。

 私も手早く机の上を片づけて、コートと財布を片手にオフィスを飛び出した。
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