秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「……わかっています。『ポピーウィズ』も退職するつもりです。でも……」
『ひとりの母親として、娘をただ父親のそばにいさせてあげたいと思うのも許されませんか? 大切な人と生きていきたいと願うのが、それほど罪なことなんですか?』
そう言いかけて、無駄だと思い止めた。
相良さんが『相和グループ』の跡取りでなければ、私たちはここからやり直せた? でも、そうでなければ、私たちはあの日出会えなかった。
結局私たちは、交われなかったんだ。
「賢明なご判断に感謝申し上げます。再就職先の面倒は見させていただきますので」
そう言った神田さんが、こちらに近づいてくる。
「そのときは、この電話番号からご連絡させていただきます」
私の目の前で足を止めた神田さんが、名刺入れから取り出した名刺を一枚差し出した。私が「結構です」と受け取らないでいると、彼はケーキ箱の上に名刺を置く。
『ひとりの母親として、娘をただ父親のそばにいさせてあげたいと思うのも許されませんか? 大切な人と生きていきたいと願うのが、それほど罪なことなんですか?』
そう言いかけて、無駄だと思い止めた。
相良さんが『相和グループ』の跡取りでなければ、私たちはここからやり直せた? でも、そうでなければ、私たちはあの日出会えなかった。
結局私たちは、交われなかったんだ。
「賢明なご判断に感謝申し上げます。再就職先の面倒は見させていただきますので」
そう言った神田さんが、こちらに近づいてくる。
「そのときは、この電話番号からご連絡させていただきます」
私の目の前で足を止めた神田さんが、名刺入れから取り出した名刺を一枚差し出した。私が「結構です」と受け取らないでいると、彼はケーキ箱の上に名刺を置く。