秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
「この番号……」

 間違いでなければ見覚えがあった。

 でも、どうして天音のスマートフォンに?

 嫌な予感がして、俺は恐る恐るスマートフォンを手に取り、電話に出た。

『先日はどうも。本日は、新しい勤務先のご紹介の件につきましてご連絡させていただきました』

 間隔を置かず、男の声がする。電話越しでいつもよりわずかにくぐもってはいたが、やはり俺がよく知る男の声だった。

 心臓の音が急激に膨れ上がる。

「お前が原因だったのか。神田」

 その瞬間、俺の中ですべてが繋がった。

『大和様……』

 電話越しに、焦りを隠しきれない神田の声が届く。
< 157 / 213 >

この作品をシェア

pagetop