秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 にっこりと恵麻を見ていた泉さんが思い出したように立ち上がり、「さぁ、どうぞ上がってください」と片腕を伸ばして私たちを招いてくれる。

「おじゃまします」と中へ入っていく恵麻に、私も同じく挨拶をしながら続いた。

 私と恵麻が大和さんのマンションに来てから、早いもので二ヶ月以上が経った。

 そして、つい一週間ほど前。大和さんに、『弟夫婦がよかったら皆でうちに遊びにこないかって言ってるんだけど、どうしようか』と尋ねられた。

 私たちが大和さんのご両親のお家へご挨拶に伺ったあと、大和さんから婚約の話を聞いた弟さんご夫婦が、皆で食事でもしようと招待してくれたらしい。

 私も弟さんご夫婦にもご挨拶をと考えていたし、なによりいつも恵麻と仲良くしてくれている桜介くんのご両親には一度ちゃんとお礼を言いたいと思っていた。

 桜介くんをお兄ちゃんのように慕っている恵麻ももちろん大喜びで、私は大和さんに『ぜひよろしくお願いします』と返した。
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