秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない

起きて最初に見る顔は

「おはよう。ちゃんと眠れた？」

　相良さんにマンションに泊めてもらった次の日の朝。

　自分と恵麻の身支度を済ませゲストルームを出ると、キッチンの前にあったダイニングテーブルになにかを並べていた相良さんに声をかけられた。

　すでにワイシャツにネクタイを締め、髪までセットしている彼は朝だと思えないほど完璧に整っていてかっこいい。

　ゲストルームには洗面所やトイレもあって、私は今しがた鏡を見てきたはずなのに、相良さんを見ていると急に自分の様が心配になった。

「はい。あの、昨日はありがとうございました」

　私が返すと、相良さんは「いいえ」と唇を綻ばせる。ゲストルームを出てから私の足もとに隠れていた恵麻が、面映ゆそうにひょっこりと顔を出した。

　その姿を認めた相良さんは、「恵麻ちゃんもおはよう」と覗き込むように上半身を傾ける。