秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない

 ――大和side

 仕事のあと会食の予定があり、俺は二十三時頃にマンションへ帰ってきた。

 予想通り玄関からリビングの明かりが点いているのが見えて、慌てて靴を脱いでリビングへと向かう。

「ただいま」

 リビングのドアを開けると、天音の姿はない。返事も返ってこなくて、俺は不思議に思い目を瞬かせた。

 天音たちがうちにきてから一週間ほどが経った。

 朝は一緒に出社して、帰宅したら家で天音が迎えてくれる。早く帰ると恵麻ちゃんにも会えた。

 起きて最初に天音たちの顔を見られるのは嬉しいし、寝る前に『おやすみ。また明日』と言える環境だというのを実感するたびに、俺は限りない幸せを感じていた。
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