秘密の子育てだったのに、極上御曹司の溺愛から逃れられない
 俺がいくら「大丈夫だよ」と言っても、彼女は毎回すぐに謝る。とにかく人に気を遣う性格で、甘えるのが下手。多少無理をしてでも頑張りすぎてしまう彼女が心配だった。

 俺の前にいるときは、せめて気を抜いてほしい。

 俺は彼女を抱きしめる腕に力を込める。

 とても細いな。守りたいと思った。

 俺がしみじみ考えていると、ついに音を上げた彼女が腕から抜け出す。

「私、お風呂の準備してきます!」

 そう放ち、天音はパタパタとリビングを出てバスルームへと向かった。

 俺はついに我慢できなくなり、噴き出す。

 彼女の行動すべてが愛おしく、俺を翻弄するのだ。
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