初恋交響楽
「早い話が恨んでいると言うもので…」

中学時代の出来事が頭の中によみがえりそうになり、わたしは息を吐いて気持ちを落ち着けた。

「それじゃあ、逆に恨まれるようなことをすればいいのではないですか?」

そう言った寺島さんに、
「ど、どう言うことですか?」

私は聞き返した。

恨まれるようなことをすればいいって、何の話だ?

「副社長に嫌がらせをして、それで彼に愛想をつかされて離婚へと話を進めればいいんですよ」

寺島さんは言った。

「嫌がらせ、愛想、離婚…」

彼の口から出てきた3つのワードを呟いた。

「要するに、副社長の方から離婚を言い渡されることですね。

あなた…えーっと、西尾さんでしたっけ?」

確認するように聞いてきた寺島さんに、わたしは返事をした。
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