初恋交響楽
そして、今日に至る…と言う訳である。

「不謹慎なことを言うようで申し訳ないんだけど…」

ここまでに至った経緯を振り返っていたわたしに、大国くんが言った。

「俺、西尾さんが結婚してなくてよかったと思っているんだ」

そう言った大国くんに、
「はい?」

わたしは聞き返した。

「お見合いの相手が西尾さんだって言うことを知った時、嬉しかったんだ。

まだ結婚していなくてよかったって、本当に思ったんだ」

大国くんはそう言って、どこかホッとしたような笑みを見せたのだった。

何ですか、それ。

嫌味ですか、おい。

独身ですみませんでしたね結婚していなくてすみませんでしたね。

でもわたしだって好きで独身だった訳じゃないんですよ。
< 7 / 100 >

この作品をシェア

pagetop