Crush~いつも君を想う~
「引越し祝いできたの」

千世ちゃんは私の質問に答えると、
「はい、おみやげね」
と、手に持っていた紙袋を渡された。

紙袋に書いてある店名を見ると、バームクーヘンが美味しいと評判の有名店だった。

「ありがとう、千世ちゃん」

「どうもありがとうございます」

千世ちゃんから紙袋を受け取ると、私と林太郎さんは一緒にお礼を言った。

「後、家の前でウロウロしていた怪しい人がいたんだけど…」

多少言いにくそうに話を切り出した千世ちゃんに、
「えっ?」

私たちは声をそろえて聞き返した。

「怪しい人、ですか…?」

林太郎さんは呟くように、千世ちゃんに聞いた。

「何か用事があるのかと思って声をかけたんだけど、逃げられちゃって」

千世ちゃんは何だったんだろう…と首を傾げた。
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