Crush~いつも君を想う~
「あなたに会いに『ながはま屋』へ行くのが楽しみだったと言っても過言ではなかったです。

この気持ちが伝わらなくても、あなたのことを見ているだけでも充分でしたから」

堂前さんは自嘲気味に笑った。

「ですけど、先日に『ながはま屋』へ訪ねた時にあなたの婚約者が現れたんですよ」

彼女が話している先日は、一果さんが同窓会に着ていた着物を返しにきた日のことだと言うのがわかった。

「楽しそうに話をしているあなたたちを見たらカッとなってしまって…」

「それで、嫌がらせをしたと言う訳ですか…?」

俺の言葉に堂前さんはコクリと首を縦に振ってうなずいた。

堂前さんは何も言えない様子で口を閉じた。

「堂前さん」

俺は彼女を呼んだ。
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