Crush～いつも君を想う～

そうだろう、当然の答えだろう。

いきなり“産みの母に会って欲しい”と言われて“はい、わかりました”とすぐに返事をするのは難しいだろう。

「林太郎さんは、自分を産んでくれたお母さんに会いたいの？」

「会いたいような気もするし、会いたくないような気もする」

「そうか…」

彼の返事に対して、私はそう答えることしかできなかった。

「その…林太郎さんの産みの母はどこにいるの？

どこで何をしているか、知っているの？」

私の質問に、
「Ｈ県にある山の中の病院に入院してるって、父はそう言ってた」

林太郎さんは答えた。

「入院…？」

病気で、と言うことなのだろう。

「末期の癌で入院しているみたいで、亡くなるのも時間の問題だって」

そんなにもひどいんだ…と、私はそう思うことしかできなかった。