Crush~いつも君を想う~
「そうか」

「ごめんなさい、こんなことしか言えなくて…。

もっと言うことがあるかも知れないし、一緒に考えることかも知れないし…」

「その気持ちだけで充分だよ、両親も“無理しなくていい”って言ってくれたから」

林太郎さんは微笑んでいたけれど、どこかぎこちないままだった。

「もう夕飯にしようか?」

「うん、すぐに用意するね」

私は椅子から腰をあげると、キッチンへと足を向かわせた。

「その前にお風呂に入ってくるよ」

「ごめん、まだ用意してない」

「沸かしてくる」

林太郎さんはリビングを出てバスルームへと向かったのだった。

そんな彼の後ろ姿を私は見送ることしかできなかった。

何とも言えないその感情が気持ち悪くて、それを打ち消すように、冷蔵庫を開けて中にある食材の確認をした。
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