Crush~いつも君を想う~
「この映画を見るまで寂しくて仕方がなかった。

両親は俺のことを本当の息子のようにかわいがってくれたけれど、それは跡継ぎがいなくなると困るからなんじゃないかって思ってた。

女だったら、彼らは俺を引き取ってくれなかったんじゃないかって思ってた。

俺が男じゃなかったら、俺がいい子じゃなかったら、彼らは俺のことを捨てるんじゃないかって思ってた。

でも、気づいたんだ。

跡継ぎとか男だからとかいい子だからとかそんなものは関係なかった。

彼らは俺をちゃんと愛してくれたから…だから、家族が欲しいって思った」

林太郎さんはそこで口を閉じると、
「だから、産みの母に会うよ」
と、言った。

彼の口から出たその答えに、私は返事をした。

 * * *
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