Crush~いつも君を想う~
「あの…」

後ろから声をかけられたので振り返ると、
「あっ…」

先ほど、林太郎さんに注意されていたあの彼とその妻がいた。

今度は何だろう?

まさか、報復にでもしにきたのだろうか?

そう思っていたら、
「先ほどは、夫が失礼なことをして本当にすみませんでした」
と、奥さんが躰を2つ折りにして謝ってきた。

「えっ、あの…」

いきなり謝られて戸惑っている林太郎さんに、
「ほら、あんたも謝って!」

奥さんに肘で突かれた彼は慌てたように彼女のまねをした。

「あの、頭をあげてください…。

俺は自分が思ったことをしただけなので…」

林太郎さんに言われて、2人は頭をあげた。

「俺、あなたに怒られるまで何も知らなかったです…。

あなたの言う通り、本当に親としての自覚がなかったです…」

彼は呟いているような小さな声で言った。
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