Crush~いつも君を想う~
「本当にすみませんでした」

先ほどと同じように謝ってきた彼に、私たちはお互いの顔を見あわせた。

「もういいですから、本当にもういいですから」

そう言った林太郎さんに彼は頭をあげた。

「あなたが親としての自覚を持って、家族としての第1歩を踏み始めたならばそれでいいです」

林太郎さんは言った。

「一果さん、行こうか」

「うん」

私が返事をしたのを確認すると、林太郎さんは彼らに会釈をして私と一緒にその場から立ち去った。

「まさか謝りにこられるとは思わなかったな」

彼らの姿が見えなくなったのを確認すると、林太郎さんはやれやれと息を吐いた。

「奥さんと一緒だったね」

私が言い返したら、
「あの様子だと、奥さんも怒ってたのかもね」
と、林太郎さんは言った。
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