Crush～いつも君を想う～

「そうか、それはよかったよ」

そう言ったのは運転席に座っているおじさんーー千世ちゃんのお父さんーーだ。

「お見合いをしてみて考えが変わったみたいね」
と、おばさんが言った。

「そうだな、お見合いをする前は“絶対に嫌だ”とか“愛のない結婚なんかしたくない”とか“身売りされるなんて嫌だ”って大騒ぎしていたからどうしようかと思っていたけど…千世が結婚に対して前向きになってくれてよかったよ」

おじさんはホッとした様子でハハハッと笑った。

相当なまでに嫌がっていたようだ。

まあ、怒って家にきたうえに入れ替わりを提案したのだから当然のことだろう。

「これで我が家も安泰だな」

「本当によかったわ」

入れ替わっているなんてとてもじゃないけど言えないな…。

ホッとした様子の彼らに対して、私は心の中で呟いた。