Crush~いつも君を想う~
それにしても、まさかこんなところで林太郎さんのお母さんと対面することになるとは思ってもみなかった。

もう少しまともーーと言っても、ポロシャツとジーンズであるーーな格好をすればよかったなと、後悔をした。

「林太郎から浴衣に着替えるように言われて控え室にきたんですよね?」

そう聞かれたので、
「えっ…はい、そうです」

私は返事をした。

「浴衣を用意してありますので、どうぞこちらへ」

「はい…」

衝立があるところへと案内されると、浴衣の用意がすでにしてあった。

白地に朝顔の模様の浴衣と赤の帯だった。

「浴衣の着方はわかりますか?」

「すみません、わからないです…」

そう返事をした私に、
「お教えします」

林太郎さんのお母さんは微笑んで答えた。
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