Crush~いつも君を想う~
「ありがとうございました」

私はお礼を言うと、目の前の姿見で自分の浴衣姿を見た。

「その浴衣、林太郎があなたに似合うと思って選んだんです」

林太郎さんのお母さんが声をかけてきた。

「えっ、そうなんですか?」

この浴衣、林太郎さんが私のために選んでくれたんだ。

後で林太郎さんにお礼を言いに行こう。

そう思っていたら、
「あの子、最近心の底からよく笑うようになったんです」
と、林太郎さんのお母さんが言った。

「笑うようになった、ですか?」

その意味がよくわからなくて、私は聞き返した。

林太郎さんは常に優しく微笑んでいると言うイメージが私の中にあった。

「林太郎から話は聞いているかと思いますが、彼は私たち夫婦とは血が繋がっていないんです」

林太郎さんのお母さんは言った。
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