Crush~いつも君を想う~
「今着ているその着物、もしかして…」

着物を指差して聞いてきた牧田くんに、
「うん、林太郎さんが私のために用意してくれたものなの」
と、私は答えた。

「そうなんだ…」

牧田くんは呟くように返事をすると、
「本條さん、彼に愛されているんだね」
と、言った。

「愛されてるって…」

そんなことを言われるとは思ってもみなかった。

だけども、
「うん、愛されてるよ。

私も林太郎さんのことが好きだから」
と、言った。

「そんなことを言われたら敵わないな…。

と言うか、間に入る隙間がない…」

牧田くんはやれやれと言うように息を吐いた。

「あ、間に入る?」

私の聞き間違いじゃなかったら、牧田くんはそう言っていたと思う。

「ううん、何でもない」

牧田くんは首を横に振って返事をした。
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