忘愛症候群
一真への好きが、少しずつ…着々と近づいていってる。
「はぁっ…だからか」
だからさっきよりも苦しいわけね。
警告音がけたたましく鳴っているのは分かる。
気づいてて、気づいてないふりをしてるんだ。
気づいてないふりをするのには無理があるって分かってはいるんだけど……だけど、好きにならずにはいられない。
好きって気持ちに気づかないわけにはいかないから。
何をきっかけに心から好きになってしまうのかは分からないけど、そうなってしまうのはそんな遠い話じゃない。
「ごめんね…ごめんね一真。好きになって忘れて、また好きになる。あたしは何度も一真に恋してしまう」
___そうやって掴まえて離さないようにしてる酷い女なの。
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あの日、一真とは少し買い物をして別れた。
だけど次の日も、また次の日も一真はあたしをデートに誘って外に連れ出した。
今まで拒絶反応を起こしていたのに人が変わったように、一真と遊びに出かけるもんだから家族もトモカたちも驚いていた。
むしろもっと出かけてこいと言うような勢い。
あたしだって出かけたいのは山々なんだけど、それも夏休みいっぱいが限界かなって思ってる。
これ以上会っちゃったら本気で危ない。
あのことは誰にも話していないから。
ていうか…話せるわけがない。
「会うたびに好きになっていって」
そのたびに苦しさも痛みも増していって。
「それをバレないようにして」
皆の傍で笑って。
「普通に笑いたいっ、普通に好きになりたいっ」
だけど、どうしてもそれは叶わない願い。
「きらい、嫌いっ___大嫌いっ」
___あたしにこんな人生を与えた神様なんて大嫌い。
___あたしはアンタを一生恨む。