忘愛症候群
【ケンside】
言っちまった。
死ぬほど恥ずかしい。
けど後悔はない。
つーか、こんなことして一真に怒られるな。
「俺の告別式の後にお前はなにイチャついてるわけ?」て真っ黒なオーラ纏いながら。
化けて出てやるとか言いそう。
トモカを腕の中に閉じ込めたままそんなことを考えていたら、俺の胸に顔を埋めていたトモカが顔を上げた。
「ケン、あのね。私も考えたことあるんだよ、もしケンが私のこと忘れたら私はどうするんだろうって」
「何?お前は別れて離れようって思うわけ?」
って言ったら「んなわけないだろ」って低い声で怒られた。
だからそういうとこ怖ぇよ。
「私だって答えは1つしかなかった」
付き合うと相手に似る、て聞いた事があるけど…
「私も死ぬ」
___こういうところまで一緒になるとは誰が予想した?
「私だってケン以上の男考えられないんだよね」
「だろうな」
「否定しないんだ」
「まぁな」
あぁ、嬉しすぎて今死んでしまいそうだ。
「私はね、ケンのために」
「俺は、トモカの為に」
___…この命果てるまで尽くす。
一真は一真の、愛には愛の想い方や愛し方があるように。
俺たちには俺たちの想い方や愛し方がある。
もしどちらかが“忘愛症候群”になったとしたら、互いの命はそこで果てる。
____それが俺たちの愛し方。
【ケンside end】