忘愛症候群



いや、ワザとだって分かっているけどね。



たまにはこうやって小さい仕返しをするくらい許されてもいいでしょ?



「お前アイス買うのか?」


「そーそ。あたしとお母さんとお父さんとお兄ちゃんの分」


「あれ、うめぇよ?」



ケンが指差したのは“黒蜜味もち入り”と書かれたパッケージのアイス。



うぇ~…黒蜜?おもち?



そのアイスって美味しいの?と訊けばマジな顔して「美味いから騙されたと思って食ってみろよ」と言われチラッとそのアイスを視界の端に映した。



やっぱり美味しそうには見えない。

アイスとおもちは別々で食べるべきでしょ…。




「この4つ買う」



あたしが選んだのは黒蜜味もち入り以外のアイス。


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