八木澤くんは不器用に想う
「……なにもらったら、東雲くんは嬉しい?」
「え?」
「私が勝手に言って、東雲くんの意見を聞いてなかったから…」
「………」
東雲くんは眉間にシワを寄せて、はぁ、とため息をついた。
「別に、お礼とかいいよ」
「でも、ご褒美ちょうだいって言ってたし」
「冗談だし。
だいたい、安木さんに教えたことで自分も勉強になってたわけだし、
安木さんに教えてた時間が無駄だったわけじゃないから、
お礼とかもらっちゃうと、なんか等価じゃない気がして」
「でもじゃ○りこはもらってくれた」
「まわりの女の子の目もあったしね。
なんなら買い直して返そうか?」
東雲くんといい、アイスを奢ってくれた時の八木澤くんといい…
なんで素直に受け取ってくれないんだろ。