八木澤くんは不器用に想う



「……なにもらったら、東雲くんは嬉しい?」



「え?」



「私が勝手に言って、東雲くんの意見を聞いてなかったから…」



「………」




東雲くんは眉間にシワを寄せて、はぁ、とため息をついた。




「別に、お礼とかいいよ」



「でも、ご褒美ちょうだいって言ってたし」



「冗談だし。
だいたい、安木さんに教えたことで自分も勉強になってたわけだし、
安木さんに教えてた時間が無駄だったわけじゃないから、
お礼とかもらっちゃうと、なんか等価じゃない気がして」



「でもじゃ○りこはもらってくれた」



「まわりの女の子の目もあったしね。
なんなら買い直して返そうか?」




東雲くんといい、アイスを奢ってくれた時の八木澤くんといい…



なんで素直に受け取ってくれないんだろ。




< 100 / 286 >

この作品をシェア

pagetop