八木澤くんは不器用に想う



東雲くんが私の目尻を触って、


ふっと目を細めて笑った。




「俺はね、
安木さんの、笑った時に目尻にシワができるとこ好きだよ」



「えぇ!!恥ずかしい…!」



「恥ずかしがらなくてもいいじゃん。
俺が好きって言ってんだから」




親指で目尻を優しくなぞる。



東雲くんと至近距離で目があって、3秒くらい。


無言で見つめられて、ん?と首を傾げたら


東雲くんがパッと視線を逸らして、


私の目尻に触れていた手も離れた。




「……つーか、
怜央どこ行ったの」



「え…わかんない。
はぐれちゃったから、今どこだろう?」



「……じゃあもう、連絡して解散するか」



「えっ…」




八木澤くん、ほとんど私に付き合ってただけで…


東雲くんたちと全然一緒に行動してないのに…いいのかな?




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