八木澤くんは不器用に想う
*波乱の転校生
夏休みが終わって、今日から学校が始まる。
朝、学校に着いたら、
ちょうど、莉乃も登校してきたところだった。
「莉乃、おはよう」
「あ、初おはよー」
昇降口で靴を履き替えていると、莉乃が『ごめんね』って謝ってきた。
「ん?なにが?」
「お祭りの時、勝手に別行動しちゃって…。
東雲くんにも迷惑かけちゃったし」
「大丈夫だよ。
東雲くん、莉乃にはそんなに怒ってないと思うし」
私には怒ってた気がするけどね…探し回ってたっぽかったし;
「途中で妹に会ってさ。
妹も他の友達と一緒だったし、
初たちともはぐれちゃってたし、そのまま東雲くんとまわろうとしてたんだけど
でも、妹はなんか悩んでたみたいで…」
「そうなんだ…。解決したの?」
「愚痴は聞いてあげたけど、
なんかちょっと落ち込んでたというか…」