八木澤くんは不器用に想う
「……なにかあったの?」
「うん。なんか、お祭りの途中でよくわかんない女の子に酷いこと言われたとか」
「よくわかんない女の子?」
「うん。
なんかキツそうな女の子にぶつかって、ケチつけられたって…」
はぁ、と莉乃がため息をつく。
知り合いでもない人に酷いこと言われたなんて…。姉として放っておけないよね。
そんな時に八木澤くんと2人で遊んでてごめんなさい…。
「ごめんね、そんな時にこっちもはぐれちゃってて…」
「それは別にいいけど。
どうせ八木澤と2人だったんでしょ?」
「あ……うん。途中まで」
「途中で別れたの?」
八木澤くんとはぐれてしまい、その後東雲くんと合流して、そのまま解散になったことを伝えたら、
莉乃がうーん…と眉間にシワを寄せた。
「(アイツせっかくのチャンスを無駄にしやがったな)」