八木澤くんは不器用に想う





教室に着いたら、


私の隣の席に人が集まっていた。




「なぁ八木澤ってD組の転校生と知り合いなの?」


「あの美人と知り合いとか
ムラッとしたりしねーの?」




八木澤くんのまわりに、男の子がいっぱい集まってる。


……八木澤くん、D組の転校生と知り合いなんだ?




「しねーよ。散れ」




八木澤くんの言葉で、男の子たちが八木澤くんの席から離れていく。



私も自分の席に座ったら


隣から「はよ」って声が聞こえた。




「…あ…。お、おはよ」




八木澤くんと顔を合わせるの、お祭り以来だ。



なんでだろ。


なんか顔、見れない…。




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