八木澤くんは不器用に想う



『美人と言われれば美人なのかも』と八木澤くんが頬杖をつきながら言う。



……美人だとは、思ってるんだ。




「……お祭りの時に会ったんだよね?」



「え…なんで知ってんの?」



「東雲くんに連絡してたでしょ?」




カバンからペンケースを取り出してたら


その手をガッと掴まれた。




「わっ!なに?」



「なんで、孝弥に連絡した内容知ってんだよ」



「なんでって…
八木澤くんとはぐれた後、東雲くんと一緒にいたから…」




それがどうかした?って聞いたら、



八木澤くんの表情が固まって、手がずるりと落ちた。




「アイツ……嘘つきやがったのかよ」



「……え?」



「安木は岡部と一緒に行動してるから、
孝弥は一人で帰るって聞いたのに」




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