八木澤くんは不器用に想う



「東雲くんは友達だし、
警戒するなんて、失礼だよ」



「……お前は…っ」




八木澤くんが何か言おうとした時、


すぐ後ろにある教室の扉がガラッと開いた。




「……お。
朝から怜央が安木さん襲ってる〜」



「はぁ!?
襲ってねーよアホ!!!」



「おはよう安木さん」



「あ…お、おはよう」




まさか自分の話をされてるとはまったく考えてもいない様子の東雲くんが、あくびをしながら教室に入ってきた。



その瞬間、東雲くんファン(であろう)の女の子たちが東雲くんのまわりに集まってきた。




「ねぇ孝弥〜。
夏休みにさ、
近所のお祭り、誰かと一緒に行ってた?」



「ん?
あぁ、行ったよ」



「孝弥のこと見かけたんだよね。
相手の顔わかんなかったんだけど…
……新しい彼女?」



「……さぁ?
まぁ俺が誰と付き合おうが、関係なくない?」



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