八木澤くんは不器用に想う
*知りたい、のに
「……ねぇ。
岡部莉乃、いる?」
「あ…」
午前の授業が終わり、お昼休みになった途端。
急いで来たのか、額に汗を滲ませた女の子が、A組の扉を開けた。
170センチくらいありそうな身長で、見上げてしまう。
そしたら女の子は、上から下へジロジロ見る私に『なに?』と睨みをきかせた。
「あっ、ごごごめんなさい!
モデルさんみたいにスタイルがいいのでつい…!」
ひぇっ!上から睨まれると怖い…!
心なしか、この目つき…莉乃に似ているような…?
とりあえず莉乃を呼ぼうとしたら、
莉乃はいつの間にか私のすぐ後ろにいた。
「あれ、莉子じゃん。
どうしたの?A組まで来て…」
「……り…
莉乃ぉ〜〜…っ!!」
女の子はぎゅうっと強く莉乃を抱きしめて、
莉乃は『いだだだだっ』と言って、うめき声をあげた。