八木澤くんは不器用に想う
SNSなら、アイス買ってからにすればいいのに。
じっと八木澤くんを見ていたら、
八木澤くんはスマホをしまって、パッと私を見た。
「うわぁ!
なに、見てた!?」
「スマホは見てないよ。
八木澤くん見てた」
スマホを見る、ちょっと俯き加減の横顔とか
カッコいいんだよね。
横顔に限らず、八木澤くん、顔だけはめちゃくちゃいいからなぁ。
「なっ…う…
か、鑑賞料取るぞ!!?」
「じゃあ見るのやめる」
「……(俺はからかわれてんのか?)」
諦めたように息を吐いて、視線を前に向けた八木澤くんをチラッと見た。
あ。なんか、八木澤くんの耳、赤い。
暑いのかな。
たしかに今日はちょっと暑い。だからアイス食べたかったのか。
女子高生に囲まれて居心地は悪いだろうけど、仕方ないから最後まで一緒にいてあげよう。
「「「(がんばれ、ツンデレくん…!)」」」
なんか来た時より和やかな空気になった気がしたけど、気のせいかな。