八木澤くんは不器用に想う
「さっき翼くんに捨てられたの。
ひどいよね。
だから怜央、お願い」
ぴと、と八木澤くんの腕にボディータッチして迫る。
八木澤くんはハァ、とため息を吐いて、ベランダから教室の中へ戻ってきた。
「怜央、待ってよ」
「俺じゃなくてもいいだろ」
「だって…怜央以外知らないもん。
もし途中で倒れたりしたらどうするの?」
「…………はぁ」
心底面倒くさそうな態度をとる八木澤くん。
だからもちろん、女の子のお願いは断るものだと思ってたけど…。
「……行くならさっさとしろ」
「やったぁ!
ありがとう怜央♡」
八木澤くんは東雲くんに一言声をかけると、女の子と一緒に教室を出ていった。