八木澤くんは不器用に想う
*寂しい
それからというもの
あの転校生は毎日、昼休みや放課後にA組にやってきた。
『怜央〜』
『ねぇ怜央っ』
『れ〜お!』
毎日毎日、甘ったるい声で八木澤くんを呼ぶ。
これが東雲くんの言う、『生理的に受け付けない』なのか
日に日に私の、彼女に対する不快感は増していった。
「ねぇ、お弁当一緒に食べよ」
「今日もかよ」
「毎日一緒がいいの。
いつ何が起こるか、わかんないじゃん」
嫌そうな態度をとりながらも、
なんだかんだ、転校生についていっちゃう八木澤くんにも、イライラした。
「毎日飽きないね、柳花奈実」
隣にいる東雲くんが、私が持ってきたさきいかを咀嚼しながら呟いた。